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日本の中小企業vsアップル訴訟の中間判決

9月末にアップル社からiPhone11が発売され、世界的に盛り上がっています。私も久しぶりに携帯電話を買い替えたのですが、カメラの機能等の向上に驚くばかりです。

この世界的な大企業であるアップル社に対して、日本の中小企業が裁判を提起している訴訟があり、少し前に注目すべき判断がなされました。

事案としては、日本の企業がアップル商品の部品の製造・供給を継続に行っており、その日本の企業が新型の部品の開発製造の依頼を受け、要請に基づき量産体制を整えていたにもかかわらず、アップルから発注が停止されたため、発注を再開してもらうために、アップルからの代金減額要求およびリベート支払い要求に応じたという事情のもとで、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求をしたものです(詳しい主張内容については、本記事では記述しきれませんので省略します。)。

これに対して、アップル社は、請求は認められないという主張のほかに、日本の裁判所で裁判を行うことは認められないという反論をしました。これは、両者間で、紛争が生じた場合には、アメリカのカリフォルニア州の裁判所で裁判を行うという合意(MSDA)が交わされていたからです。

これに対して東京地裁平成28年2月15日(中間判決)は、以下のとおり示しました。

「本件条項は、その対象とする訴えについて、原告・被告間の訴えであるというほかに何らの限定も付しておらず、上記定めからは、同条項が対象とする訴えについて、その基本となる法律関係を読み取ることは困難である。したがって同条項が、一定 の法律関係に基づく訴えについて定められたものと認めることはできない。(中略)「本件条項はその内容において一定の法律関係に基づく訴えについて定 めたものと認めることはできないところ、このことは、具体的事案において実際に原告の予測可能性を害する結果となるかどうか とは関わりがない(中略)本件条項は無効で あり、カリフォルニア州の裁判所に専属的裁判管轄があるものと認めることはできない」

外国人・外国法人との訴訟を日本の裁判所で行うことができるか、という問題を国際裁判管轄と言います。そして、日本での国際裁判管轄が認められるのは、日本の裁判所が判断することが問題ない場合と考えられています。例えば、アメリカ人とイギリス人との間のフランスで起こった交通事故について日本の裁判所に判断を求めても適切な判断が期待できず、また当事者も結論が予測できないため、日本の国際裁判管轄は否定されます。

一方で、当事者間で管轄について事前に合意ができていれば、当事者は、判断を事前に予測できるため、国際裁判管轄は認められます。これを管轄合意と言います。日本の民事訴訟法は、3条の7第2項に「一定の法律関係に基づく訴えに関し」て日本の裁判所で裁判を行うことを合意していれば、その合意に基づき国際裁判管轄が認められるとしています。

本件でも、当事者間で、MSDAというものに合意をし、その中には、紛争が生じた場合にはアメリカのカリフォルニア州の裁判所で解決する旨が規定されていました。一見すると、当事者間でカリフォルニア州の裁判所で解決することを合意しているのだから、日本の裁判所では裁判を行うことができないようにも見えますが、本件は、日本の裁判所で裁判を行うことを認めました。

それは、本件の紛争解決の合意が、「その対象とする訴えについて、原告・被告間の訴えであるというほかに何らの限定も付しておらず、上記定めからは、同条項が対象とする訴えについて、その基本となる法律関係を読み取ることは困難であ」ったためです。上記のように、民事訴訟法3条の7第2項は、「一定の」法律関係に基づく訴えに関し、合意をしている場合には、その管轄合意が認められますが、本件では、「一定の」法律関係に基づくものではないと判断したのです。

なお、本件では、この条項が定められる前ですので、この条項が直接的に適用されたものではなく、管轄を判断する場合は、条文の趣旨に基づきながら判断をしていますが、この判断は、条文の解釈として通用するものであると考えられます。

以上のような判断から、本件の管轄の判断については、日本の企業の主張に軍配が上がりました。

本記事で紹介したものは、世界的な大企業を相手にしたものですが、契約書は日々いろいろなところで交わされるものです。そして、漠然と見ていれば、一見して問題がないように見えても実は問題になるという場合があります。

そのため、契約を交わすときは、内容をしっかり検討し、疑問があれば弁護士に相談して事前にリスクに備えることが重要になります。

なお、余談ですが、本案について、第1審判決は日本の企業の請求は棄却されました。

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