弁護士法人はるか|長野法律事務所

正しい選択をするために必要なこと

週末は、南アルプスの沢登りに行ってきました。
とても美しい沢でしたが、連日の雨での増水が著しく、途中まで遡行したものの、時間がかかり、日曜日の夜になるまでに安全に完全遡行を終えることは難しいと判断し、引き返せる段階で引き返してきました。

下山したとたん、同じく南アルプスで沢に流され、男性が死亡したことを知りました。心からご冥福をお祈りいたします。

山は、常に判断を迫られます。今の自分の状態、パーティー全体の状態、山の状態、天候、地図を読んだうえでの現在地の正確な把握。それらを踏まえ、現在時刻でここにいるということがどういうことを意味するか。この状態で突っ込んで、一人として事故なく、安全に下山できるのか。

撤退という厳しい選択でも、それが安全のためであれば止むを得ません。

 

正しい選択をするためには、正しい現実の把握が必要です。見たくない現実でも冷静に見、分析しなければなりません。

 

これは我々の仕事にも通じることです。お客様にはいろんな思いがおありになる。しかしそのお思いは別として、現実に、手持ちの証拠に何があるのか。これでどこまで戦えるのか。判例はどう判断しているのか。

その結果、時にはお客様のご意向に沿わない見通し、つまり、これでは戦えません、負けますよという見通しをお伝えしなければいけないこともあります。その結果お客様を落胆させてしまうこともあります。

しかし、そこを敢えてあいまいにして、お客様に勝てるのではないかという甘い見通しを抱かせ、弁護士報酬をいただいて訴訟に突っ込み、良くない結果になる、というのは、かえってお客様ご自身のおためになりません。

現状では訴訟で勝てないというのが、現実的な判断であれば、その現実を踏まえたうえで、ほかに何かできることがないかを探す方が、よほどお客様のおためになる、と私たちは考えています。今週も、一歩でも半歩でもお客様のお役に立てるよう、精進してまいります。