弁護士法人はるか|長野法律事務所

損害賠償請求書の事例①(関節機能障害)

XX保険株式会社 御中

                             弁護士法人はるか  

1.傷害

(1)治療費:2,674,288円

    H27.6.8~28.11.8  313日 入院120日(実通院63日)

                             2,674,288円

 (2)入院雑費:180,000円

   1,500円×120=180,000円

 (3)その他費用:1,500円 

 (4)文書料:5,400円 

(5)下腿義肢費:23,840円

 (6)通院交通費:643,720円

 (7)休業損害:11,464,235円

   被害者はレストランを経営している自営業者である。

   事故前年の平成26年の確定申告より所得額を算定する。

   ①所得金額4,118,003円

   ②青色申告特別控除額650,000円

   ③固定費5,123,125円

    内訳㋐租税公課       6,200円

      ㋑福利厚生費     70,315円

      ㋒利子割引費     42,730円

      ㋓地代家賃   3,600,000円

      ㋔リース料      37,170円

      ㋕広告宣伝費  1,296,810円

      ㋖諸会費        6,000円

      ㋗管理諸費      63,900円

   ①+②+③=9,891,128円が基礎年収となる。

  ア 完全休業期間の休業損害

    平成27年6月8日から平成28年1月31日までの238日

    9,891,128円÷365=27,099円

    27,099円×238=6,449,562円

  イ 営業を再開した期間の休業損害

    平成28年2月1日から同年11月8日までの282日

    ①所得金額4,118,003円

    ②青色申告特別控除額650,000円

    合計 4,768,003円

    4,768,003円÷365×282=3,683,766円・・・・㋐

     平成28年2月1日から同年11月までの店の損益   

     計       ▲1,330,907円

    1,330,907円が営業損である。・・・・㋑

    ㋐+㋑=5,014,673円が営業再開後の休業損害額となる。

 ウ 休業損害額はアとイの合計額11,464,235円となる。

 (9)傷害慰謝料2,415,000円

   入院120日、通院193日より入院4カ月と通院6.5カ月である。

   赤い本別表Ⅰ基準額にて算定する。

  ①入院4カ月と通院6カ月 2,390,000円

  ②0.5カ月分 (244万円―239万円)×0.50=25,000円

  ①+②=2,415,000円

 2.後遺障害

(1)後遺障害逸失利益:10,682,323円

   被害者の後遺障害は、左膝外側側副靭帯損傷、左膝前十字靭帯損傷後の左膝動揺関節として「重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないもの」と捉えて、「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」として第12級7号が認定された。

  ・基礎収入 4,768,003円

   被害者の平成26年分を基礎収入とする。

   ①所得金額4,118,003円

   ②青色申告特別控除額650,000円

   ①と②の合計額4,768,003円

  ・労働能力喪失率 14%

  ・症状固定時年齢 34歳

  ・労働能力喪失期間 33年 ライプニッツ係数 16.003

   労働能力喪失期間については、被害者の後遺障害は左膝外側側副靭帯損傷、左膝前十字靭帯損傷による左膝動揺関であることから、歩行すること、荷物を持って歩くことで、一生涯にわたり常に右膝関節に負荷が掛かるため症状の悪化が進行すると判断できる。また、加齢により左膝動揺関節の症状が、健康人よりも著しく症状が悪化・進行すると判断できる。

   よって、就労可能年数まで労働能力喪失期間を認めるのが妥当である。

  4,768,003円×0.14×16.003=10,682,323円

 (2)後遺障害慰謝料:2,900,000円

   後遺障害級の慰謝料は、赤い本の標準額290万円とする。

 3.総損害額:30,990,306円

 4.既払額:17,619,395円

 5.損害賠償請求額:13,370,916円

                                   以上