弁護士法人はるか|長野法律事務所

相続・遺産分割事例紹介 17

解決事例

【相談内容】

 母親Aが死亡しましたが,子が3人います。父親は7年前に死亡しています。

 長男Bである私は母の生活費の援助として年金だけでは足りないので,毎月10万円の仕送りを5年間続け合計600万円を支払ったので,兄弟で遺産分割する場合に寄与分として請求できる(民法904条の2第1項)と思うので弁護士に遺産分割の交渉の委任に来られました。


【交渉結果】

母親の遺産を調べたところ,宅地2200万円,居宅0円,預金200万円でした。

 長女Cと二男Dに遺産の評価額を説明したところ納得しましたので,母親の遺産額は2400万円となります。

 長男の寄与分として,600万円母親に支払われていることを長男と母親の預金通帳を証拠資料として提出し説明した結果C,Dともに寄与分として認めました。

 遺産分割の計算は

 ・遺産2400万円から寄与分600万円を引くと1800万円となります。

 ・みなし相続財産1800万円を相続分で割ると

  長男 1800万円×1/3=600万円

  長女 1800万円×1/3=600万円

  二男 1800万円×1/3=600万円

 ・長男の寄与者に寄与分600万円を加える。

  600万円+600万円=1200万円

 遺産分割協議書は,長男が土地,建物,預金を単独取得する,代償として,長女に600万円,二男に600万円を支払う。

 以上の内容で分割が成立しました。

【弁護士からのコメント】

 寄与行為の形態はいろいろあります。

・自営業で営業をしている被相続人の仕事を長年にわたって無償か無償  に近い形で従事する。

 ・病気療養中の被相続人の介護及び家事を長年にわたり無償で行った場合。

 ・長年にわたり毎月仕送りをして被相続人の扶養した場合。本件はこのケース

に該当します。

 これらに該当するためには,被相続人に対する特別の貢献,無償性,継続性

などが重要な要件となります。

 ・被相続人に対して住宅の購入費の援助,介護施設に入所時の高額な入所金の

支払いなどした場合。

 この場合は,被相続人に対して多額の金額を支払っているかが要件となり

ます。

  以上,代表的な形態を挙げてみました。