弁護士法人はるか|長野法律事務所

家族のかたち- 形は家族であっても、中身は「家族」ではない-

現代の婚姻・家族の形態は、本当にさまざまな様相を見せています。


単身世帯や夫婦二人世帯が依然増加傾向にある中、離婚率の増加による単親家族やステップファミリーの増加も目につくようになりました。

まだ欧米ほどではないにしても、事実婚という選択肢を選ぶ人も増えてきているようです。


以前に比べると、それだけ多様な価値観が生まれ、同時に社会にもそれを受け容れられるだけの柔軟さが生まれたという証だと思いますが、当事者らにとっては、まだまだ生きづらい世の中であることに変わりはないように思われます。


こういった現状を背景に、今月4日、「婚外子」の相続差別を設けている現在の民法の規定について、最高裁判所が違憲判断を示したことは、非常に画期的なことであると評価されています。


前回の合憲判断から18年も経過しての今回の出来事ですが、法の壁を乗り越えるべく争ってきた方々の努力がようやく実を結び始めた形となりました。
ただ一方で、こういった法の規定とは離れた部分で、逆に「家族」という縛りに苦しんでいる、そんな現実を抱えている人もいます。


形は家族であっても、中身は「家族」ではない。


そこに居場所を見いだせず、しかし家族であるからこそ切れない縁。
いっそ家族でない方が楽であったかもしれないけれど、互いに深く傷つきながらも、憎みきれない。
たとえ互いのことを想い、理解したくてもそれが叶わない。
そんな越えられない「家族」の壁があるとすれば、家族とひと口に言っても、真の「家族」のかたちは、法で規定されているものでもなく、もともと存在するものではない、そう思えます。


その形はどうであれ、互いを想い合う絆がそこに存在していれば、それは紛れもなく「家族」と呼べるのではないでしょうか。